FIREブームの本質はメンバーシップ型雇用の嫌悪
早期リタイアを実現する「FIRE(ファイア:Financial Independence, Retire Early)」がブームになっています。
僕も非常に興味があるので、FIREを達成した人のSNSなどをよく見ます。
その中で、これまではFIREを達成するため、いかに金融資産を積み上げるかの手法・情報、つまりFIREのFIに注目していましたが、FIREを達成した後に、毎日何をしているのかという、FIREのREの方に目がいくようになりました。
Retireなので、基本的には労働からは解放されて、毎日遊ぶ、何もしない、イメージです。しかし、REの実態は傾向は以下のようにまとめられるかと思います。
1.ほぼ全ての人がブログを書いている
基本的に発信のプラットフォームとして、FIRE達成後もブログを書いています。
ツイッター、Youtube、Voicyなどの他のSNSをやっている人でも、ブログを併用していることが多いです。
また、ブログ自体がリタイア後の収益源になっていることもあります。
ブログは、比較的手軽に更新できるSNSとして、リタイア生活にリズムを与えるという意味では相性が良いのかもしれません。
2.何らかの労働はしている
リタイアと言っても、完全に働くことをやめるわけではなく、多様な労働を行っていることがわかります。
ただし、本当に多様です。
金融資産をそこそこ持っていても、小銭を稼ぐために日雇い労働的なことをやっている人もいれば、現役時代の職務経験を生かして単発で稼ぐ人、さらには、上記の通りブログを始めとしたSNSで稼ぐ人などいろいろです。
テレビで取り上げられていた人で、自転車が趣味らしいのですが、Uber eatsで趣味と実益を兼ねて配達で稼いでいると言っていました。
3.資格取得に走る人もいる
結構意外だったのが、せっかく(?)リタイアしたのに資格取得を目指す人がいることでした。
大手企業を辞めて、前職とは全く関係のないガテン系の資格(除雪機械運転員資格基準)を目指す人もいます。また公務員をやっていた人で、社会保険労務士の資格を目指している人もいます。
ただし、この資格で食べていくんだ、というよう決意や必要性があるわけではなく、あくまでも短時間で稼ぐため、もしくは、地域に貢献したいというもう少し軽い動機からのようです。
4.時間を自由に使える主体性を取り戻したかったという動機を語る人が多い
なぜ、FIREを目指したのかという動機として、「ゆっくり寝たかった」、「好きなだけゲームをしたかった」、などの時間の主体的管理の可能性を語る人が多いです。
このためFIRE後に労働を行うとしても、あくまでも、短時間であったり、自分の裁量で時間を区切った形態で労働する人が多いようです。
FIREの本質は4.の時間を主体性を取り戻すことではないでしょうか。
FIRE後に、金融資産があっても、それなりに働いていること、また、資格取得を目指す人までいることは、労働自体はそれ程苦にしていないことを物語っているのではないかと思います。
このことは、つまり日本のメンバーシップ型雇用における「職務内容、勤務地、異動の有無には文句は言えない」という正規職員の時間の主体性を奪われるデメリットを、多くの人が嫌悪していることを示しているに他ならないと思います。
ただし、SNSで発信しているFIRE達成者だけから把握した傾向なので、積極的に発信していないFIRE達成者の中には、本当になにもしないで暮らしている人もいるのかもしれません。
それでも、やはり、労働は人間にDNAレベルで組み込まれているものだとすると、また、人間には承認欲求があるため、FIRE後に金銭的動機ではないとしても何をするかを決めておくことが、スムースなFIREへの移行に役立つのではないかと思います。