口はマルチタレント-食べることと話すことの両立が難しい
食べることも話すことも口を使うわけですが、両立って難しくないですか?
食べることは、摂取行為です。食べ物や飲み物を飲み込まないといけません。
反対に話すことは、排泄とまでは言いませんが、音声を体の中から外に出す行為。
このように食べることと話すことは全く反対の機能ですね。
この反対の機能を同時並行に行わないといけないのが、”他人との楽しい飲食”なんです。
さらに、食べることは、物をかむという咀嚼行為もしないといけません。
口が忙しいったらありゃしません。
体の器官の中で口ほど異なる機能(=食べることと話すこと)を担わされている器官はないのではないかと思うほどです。
人間以外の動物を見ればわかるように、口は基本的には摂取器官でしょう。
それなのになぜか、人間になると、口は話すというコミュニケーションの機能も担わされるようになったんですね。
”他人との楽しい飲食”は、この2つの機能を器用に使いこなすことが求められる場面です。
会食ではまず、相手の人に失礼にならないように、話を聞いて応答し、また自分からも話しもしないといけません。
そして、その間に食事も摂取しないといけない。
それも、相手の食べるスピードにあわせて(食事がサーブされるタイミングが混乱しないように)。
これって、同時並行に何かを行うことが苦手な高機能自閉症”グレーゾーン”の自分にとって、大変で苦痛でもあったりします。
僕は食べるなら食べることに、話すなら話すことに集中したいです。
食べるんであれば、食べているものをよく噛んで味わい、会話(自分が話すことも聞くことも)に気を散らされることなく、味わい尽くしたい。
会話をするのであれば、話すことや聞くことに意識を注ぎ、目の前のおいしそうな食べ物に集中力を削がれずに、コミュニケーションに集中したい。
だいたい会話をしながら食べた物って、どんなに高くてうまいものでも100%味わえていなくてもったいないです。
美味しいものを口に入れて噛んでいる間にも、集中力は相手が話していることや、次に自分が何を応答しようかということに行っており、本当に味わうことに振り分けられる集中力は100%ではないです。
仕事で会食をする場面ではそれなりに高価で普段食べられないような美味い食事が出ます。
それなのに、会食こそ集中力は相手(接待相手)とのコミュニケーションに優先されてもっていかれるわけで、料理自体がどうだったか、とか、そもそも何を食べたのかなどの記憶がほとんどありません。
普段食べれないような良いものを食べているのに、会食の最中に美味しそうなものに遭遇したとしても、それを言い出せません。
例えば、「ちょっとこのお肉美味しいので、僕は咀嚼に2分かけたいです。ついては、会話をストップさせてください!」なんて言えないわけです。
だから、基本的に僕は上手いものほど一人で時間をかけてゆっくり味わいたいです。
「食事は黙ってもくもくと」というと、頑固おやじのパワハラに支配された家庭や、集団教育の行き過ぎた学校のような光景のような気もしますが、僕はその方が好きです。
話すことと両立しながら食べるなんてもったいないし、無理です。
食べることは食べることで、話すことは話すことで、場面を切り分けで考えたいタイプです。
追記です。
一人二役な器官といえば、排泄と射精を行う男性の陰茎があります。ただし、当然排尿と射精は同時には行えないわけで、やっぱり食べることと話すことを同時に行わないといけない口ってすごい!
ちなみに口は、エッチの際には舌で舐めるとかも大活躍しますよね。1人三役ですね。